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【国道371 橋本ー高野区間】家族愛が高野山へと続く酷道を切り開いた。とある物語【高野山 和歌山県の酷道】

酷道マニアであるパパと、超一般人(言い換えればまとも)なママ、そして2人の一人息子であるたけし(7歳)の幸せな家族3人は、連休を利用し高野山に観光しに行くことになる。

この物語は、パパが家族の笑顔より自分の趣味を優先したが為に、家族の阿鼻叫喚を引き起こしつつ、家族の絆により見事に高野山にたどり着く過程を描いた壮大な物語である。

 

橋本橋を渡り右折、県道13号を進んですぐある青看板、ここから壮大な物語は始まる。

パパ(独り言)「青看板は直進が高野への道であると案内している、、、。脇にある標識にも高野山へは直進28kmとある。無論、徒党を組んでこのまま直進して国道370号経由へと誘導しているのだ。左折の国道371は高野山へと通じてるにもかかわらず、幅員減少の警告のみで、行く先は記されていない 。ふっ、よほどその存在を知られて欲しくないのだろう」

ママとたけしは後部座席で楽しそうに談笑している。

パパ「否!だまされるものか!敵は371にあり!」

パパはそう叫ぶとハンドルを左に切る!

ママ「パパ?どうしたの?」

パパ「いや、、、ごめん。何でもない」

もちろん、ママとたけしは有名な観光地である高野山への道中に危険があることなんて夢にも思っていない。最も国道370経由なら危険などないのだが、、、。

しばらく狭い住宅街を進むと、パパは突然車を止める。

パパ「ごめん。ちょっとトイレ」

こんなところでトイレって、、、ママは顔をしかめる。

だが、パパの目的は用を足すことではなく、この青看板だ。

パパ(独り言)「高野山へ行くならこの先に進まず引き返し、国道370経由で行けとの警告。この先幅員減少 通行注意とか、大型車通行禁止という警告は多いが、ここまではっきり引き返せとの警告は珍しい。笑止!挑戦状のつもりか?(笑)」

無論、挑戦状と思い込んでるのは変〇であるパパだけで、一般の方は引き返し、370経由でどうぞ。

パパ「ねえ、ママ。あそこにある看板を読んでみて」

ママ「?国道371号を早期に改善しよう?」

パパ「どうゆう意味か分かる?つまり、地元住民の方々は、国道371は危険だから改善してくれと言っている。一方先ほど我々は青看板で371は危険だと警告を受けた。つまり、371は官民お墨付きの酷道なんだよ。」

パパはドヤ顔だ。

ママ「お墨付きのこくどう?国道なんだからあたりまえでしょ?なんか、パパ変よ。」

パパ(我にかえる)「あ、何でもない。ごめん、ごめん」

たけしは見たことない山道を興味深々に見ている。

ママ「そもそも危険って、、、371って何?まさかこの道のことじ、、、あ”」

不安を覚えるママの目の前に、見たことない風景が広がり、ママは言葉を失う。

ママ「ぎゃああ」

ママは叫ぶ!

ママ「ちょっとパパ!ガードレールないじゃない!!この道大丈夫なの!??」

パパ「大丈夫だ。問題ない。」

パパはエルシャ〇イのファンなので、よくこのセリフを吐くが、大概根拠はない。

ママの怯えっぷりにたけしはやや顔を引きつらせている。

ママ「ちょ!パパ!道幅が!」

パパ「道幅?幅員だろ?」

パパは酷道マニアとして、幅員という言葉にこだわる!

ママ「ふくいん?何?ふくいんって?」

パパ(ドヤ顔)「ふっ。幅員とは、、、」

この後、パパの講釈は延々と続く。

ちなみに、幅員とは道幅という単語に置き換えて大差ない。

パパ(完全に酷道マニアとして覚醒してる)「ふう、車高2.5m以上の車は通行不能と、、、。素掘りのトンネルに離合不能のコンボか、、面白い!見せてもらおうか!371のトンネルの実力とやらを!」

パパはガン〇ム世代なので、しばしばこうしたセリフが出る!だが、この先のトンネルが素掘りで離合不能であるとの推測は何の根拠もないことであることは言っておく。

ママ「何?すぼり?りごうふのう?何言ってんの!?日本語しゃべってよ!」

これはママが正しい。そもそも素掘りとか離合なんちゃらなんて単語は、大半の一般人は人生で一度も発せず幸せに生きていくのが普通であることは言っておく。

パパとママのやり取りを聞いて、たけしは子供ながらに何かを感じ、泣き出しそうになっている。

その話題のトンネルにたどり着く前に、道は過酷になってゆく。

ママ「ちょっと!この道幅でガードレールがないじゃない!落ちたらどうするのよ!?」

パパ(ガン〇ムファン)「落ちなければどうということはない」

これはパパが正しい。というか、そう思ってないと酷道マニアなんてやってらんない。

パパ「ふっ、国道471を思い出す。こんな風景が確かにあった、、、。」

パパは悦に入っているが、ママは狂乱気味に抗議する!

ママ「何言ってるの?全然ガードレールないじゃない!もし落ちたら!」

パパは平然と返答する。

パパ「?落ちたら?落ちても死なないじゃないか?ここは落ちても死ぬ区間ではない、、。すなわち、穏やかな日常と言えよう」

ママは絶句する。

これはママの反応が正しいが、酷道マニアのパパの気持ちも分かる。酷道マニアは落ちたら死ぬ区間を常に走り続けてるため、たとえガードレールがなくとも、落ちても死なない区間は完全安全区間なのだ。言わばオアシス!

両親の口論を聞き続けて、ついにたけしは泣き出してしまった、、、。

国道371は大きく左折するとの青看板がある。

パパはママにおおいに語る。

パパ(さすがにたけしを気にしながら)「ねえ、ママ。この青看板の重要性がわかる?青看板は大きく左折しろと言っている。何故ここで?この風景を見てほしい。この界隈において、酷道が町道の幅員に劣るなぞよくあること。国道をトレースする者の大半が、国道は立派な道であると信じているこの令和において、迷わずトレースできるようにこの青看板は導いてくれてるんだよ。凄いことじゃないか、ねえ」

ママは無言で、泣きじゃくるたけしをあやし続けている。

ここで言っておかねばなるまい。酷道マニアはなぜかある道を間違えないように進むことを「トレース」という単語をもって表現したがる傾向がある。

 

ママ「ぎゃあ!」

ついにラスボスがあらわれた!

パパ(父親としての威厳を取り戻すチャンス)「落ち着け!落ち着かぬか!皆の者!(対象2名)」

ママの、パパに対する見る目が変わる💛

パパ(酷道マニア)「この戦いが最終決戦ぞ!いざ!進め!命を惜しむでないぞ!」

威勢とはうらはらに、パパは対向車が来ないことを確認しつつ、慎重に恐る恐るアクセルを踏む。もうこのトンネルがどうとか言う余裕がない。

ママとたけしは、かたずをのんでパパを見守る!

ラスボス撃破!パパは冷や汗。ママとたけしは、パパの父親としての威厳を十二分に感じ、陶酔してる。

エンドロールへ。

パパ「我々の勝利によって、この地の平和は保たれた!見よ!勝利の晩餐へと、地元住民は我々を誘導してくれてる、、、」

パパが言う地元住民とは明らかに工事現場の誘導員であり、パパの言動は完全な妄想だ。だが、ママとたけしはパパに心酔している!

センターライン復活。371のおにぎり。

高野山への最後の試練か、かなりの急陵だ。

ママ、たけし「パパ!がんばって!」

ここで、ZA〇Dの「負けないで」がバックミュージックとして流れる。

すでに、ママとたけしは号泣している!

リアル2〇時間テレビがここにある!

フィナーレ。

家族の帰還。

無事高野山にたどり着いた3人家族は、麓にいた頃より明らかに絆を強くし、高野山の観光を楽しみ、思い出を作ったという、、、。

 

 

このブログを閲覧下さり、ありがとうございました。

 

最後に。

この道を必死で切り拓いて踏みしめてきた人達と、この道にアスファルトを敷いてくれた人達。そして、この道に対して、尊崇と感謝の意を表します。

ありがとうございました。

 

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