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【国道309号 行者還越え】 土木事務所、所員は語る!道の脇に生える木々、それすなわちガードレール 【奈良県 三重県の酷道】

こんにちは!まるちゃんです。

このブログを閲覧くださりありがとう!

今回紹介するのは、三重県の熊野市を起点として大阪府の大阪市まで敷かれている長ーい国道309号の中で、いわゆる行者還越えをする酷道区間です。

紀伊半島の山間部を初めて走りましたが、本当に山々が峨々している。

本当に美しい。

でもここに、車両が通る道を切り拓くのがどんだけ困難だったんだろうか。

紀伊半島の道は、常に土砂災害、地すべり,そして落石と戦っている。

落石防止のネットなんぞ、日本中どこにでもある。が、この画像は紀伊半島を縦断する幹線道路の国道169(国道309重複区間)だけど、全編にわたって同じ風景が続く。

ちゃんとした信号機があって、片側交互通行を促す。

道路上にも進路誘導の矢印があって、一時的な措置ではないことを示している。

よくある工事現場の片側交互通行を促す仮の信号機でない以上、何というかいろいろな意味で「無理」なのだろう。

道をつくるのが困難な地域に立派な道をつくるにはどうするか?例えば群馬、長野県間のあの碓氷峠を超える高速道路をつくる為に行った作戦。まずは山を削り、道をつくる。そこに谷があらわれて道がつくれなかったら?とりあえず橋かけちゃえ!

橋をかけたら、目の前に山がある!どうする?トンネル掘っちゃえ!

最もリアルでは綿密に設計して道を敷いているのだけども、日本って国土はこうしたノリでいかないと道がつくれない程、山々が峨々としている。

そうした峨々とした紀伊半島の山々の間に道をつくる際、山を削るだけで道をつくるとどうなるか?国道309(の一部)=酷道になる。必然と。山を削って道をつくるだけじゃ、無理あるんです。だから、日本はインフラ技術を結集して、あちこちで橋かけて、トンネルを掘っている=国道169。

紀伊半島の山々はどちらにしろ、本当に道をつくるのが困難。そこに、どんな狭い道であれ、広い道であれ、道を敷いた方々には本当に尊崇の念しかない。

勇者の旅立ちはここから。

奈良県の下市町にあるスーパー、オータニ。関西圏では有名なスーパーなのか?何故スーパーの駐車場かというと、朝飯の「やくそう」を食べようとうろうろしたが、コンビニやファーストフード店がなくて、仕方なくここに落ち着いた。ここでとんかつ弁当と、特選茶を購入しいざ行者還越えへ。

吉野とかいう地名を聞くと、受検勉強で必ず暗記してたよねって思い出す。日本の東に住んでるから、いざ来るとああ、ここがって思う。

下市町を通る309を走る。旋回するには、人様の土地を利用させてもらわないといけない道がしばらく続く。なんでびっちり国道の脇に建物が並び、旋回するスペースすらないのか?平な土地が少ないんです。人々が住む建物を平な土地に建てることがまず優先。町の発展度とかじゃなくて、山と山に挟まれた貴重な狭い平野に町を作ってるから仕方がない。

そんな道を抜けると、2車線の快走路に。電光掲示板には、酷道マニアにとっての「エサ」ともいえる文言が記されている。

行者還越えにむけ、309はまっすぐに敷かれていることを、青看板ははっきり示している。

だが、逆に言えば迂回路は全くないよってことだ。

酷道マニアにとって、一番胸が高鳴る瞬間。

魔界への門へたどり着く。

あいにく「天空の剣」なんていうチートアイテムはお家に忘れてきてしまってないが、「はがねの剣」で十分でしょ?

さあこい!

「はがねの剣」を振り払いつつ、(なんとなく不安を覚えつつ)進む勇者。

日が当たる道に出て、多少は不安が晴れる。

また警告文。嫌なことは見たくない小心者の勇者は、見て見ぬふりをする。

雲行きが怪しくなる。

309のガードレール設置率は(この区間に限り)比較的高いんだけれども、なぜか突然ガードレールが途切れる箇所が多々ある。その気になれば、いつでもいけてしまう。

実はこの酷道は、他の酷道に比べて通行量が多い。

その大部分は、行者還岳への登山を目的とした人達と、渓流釣りを目的とした人達。自分は酷道マニアで、この酷道を走ることに趣きを感じているが、彼らは違う。走破することが目的ではなく、本当の目的は別にある。

貴重な退避スペースに駐車し、渓流釣りを楽しむ。よくこんな不安な場所に駐車しっぱなしにできるものだ。自分が酷道を走るのが大好きなように、彼らは釣りが大好きだし、山を登るのが大好きなのだろう。もっとも彼らのうちの誰とも会話してはいないが、、目的は違えど、勝手に同じ熱き想いを感じる勇者。

行者還って何?「ぎょうじゃがえり」と読む。勇者得意の妄想によると、いろいろ頑張って修行を重ねた者でさえ、登ることが叶わずに、還らざるを得ない屈強な岳だということだろう。画像を見てもらえば分かる通り、人が通ること自体が奇跡で、車両が通るなんて、、。行く手をはばむ岩を砕き、道をつくった先人達が確かにここにいた。

トンネル内をのぞくまでもなく、離合困難ではなく、離合不能。

あ!これ、魔王の「引き返させないぞ作戦」だ!

ここにきてようやく勇者は気づく💡

国道471でもこの作戦にはまった経験がある。

ガードレールの線形をよーく見てもらうと分かるが、退避スペースはわずかながらにある。が、旋回できん。引き返せないんだ。

進むしかない。

勇気をもって「はがねの剣」を振り払ってきた勇者だが、「はがね」ごときでは切り拓けない屈強な「岩」、に剣は刃こぼれもいいとこ。

勇者の安全を守ってくれてる「なかま」であるガードレールも、「落石攻撃」によってボコボコ。勇者もガードレールも共に半泣き状態だ。

まだ酷道区間の序盤にもかかわらず、半泣き勇者は「もうすぐ終わりっしょ?」と根拠のない現実逃避をして進む。現実逃避は得意分野だ。

ついに来た旋回スペース!行者還越え達成!さあ、引き換えそ、、

否!魔王の攻撃パターンの基本、幻惑呪文「マヌーサ」に騙されるな!

正直、剣がボロボロになる程の酷道区間を走ってきた。もう十分。この美しい風景はフィナーレに違いない。そう思いたいが、引き返す理由を考えてる間に軽自動車の勇者が口笛を吹きながら脇を通っていった。ぐぬぬ

勇者たるもの、勇気を奮い立たせて進もう!

林道行者還線、、、?

詳しい知識はないが、看板の様相からするに、つまるところ、いろんな歴史があった上で国道=林道ってことだろう。

林道=国道の道を進む。慣れとは恐ろしいもので、行く先にガードレールがなくてももう驚かない。が、退避スペースにもガードレールがない!

確かに木々がガードレールの代わりになってくれてるけど、ねえ?

勇者vs勇者!ガードレールに刻まれている魔王の紋章、309のおにぎりが高見の見物をしている。

だが、「バーチャファイター」でも「ストリートファイター」でもあるまいに、基本酷道においては勇者通しは同志だ。対峙した際は譲り合う。魔王は格闘ゲームのやりすぎ。殴り合うと思ってた魔王、残念でした~。

それにしても、林道=国道区間に入ってからのガードレール設置率はひどい。この地域の土木事務所の会議で、道の脇に木々が生えていれば、それすなわちガードレールと言っても過言にはあらず!なんて意見が採択されたのか?

否!この地域の土木事務所は必死に勇者の行く先のハザードを排除すべく必死になっている!このしゅうまいの数と規模たるや!必死にこの道を通る勇者をサポートしている。

しかし、峨々としてる山々だなぁ。

見とれる勇者。

現実に引き戻される。

長い、、。下市町を出発してからここまで刻んだ時はいくばかりであろうか?

国道=林道区間からは、ほとんどギアを2速にあげられない急丘陵が続いている。

そういえば、会社の同僚に旅行好きがいるのだが、いわく、「紀伊半島の道は、縦より横がまずいですよね?」。

横って国道425のことか?紀伊半島の酷道界の大魔王ともいえる国道425。通行止めばっかで走破したことがないのだが、どんな酷道なのだろう?

紀伊半島の山間部を走る=酷道を走る。

縦に走る=国道309を走る。

横に走る=国道425を走る。

縦と横では、もし酷道度が同じだとしても、距離が段違いだ。

え!国道425って、こんな酷い道を倍時間をかけなければ走破できない酷道なのだろうか?

国道425が紀伊半島の酷道界の大魔王と言われるゆえんはそこか?勇者は得意の妄想を駆使し、国道309と長時間にわたって対峙している現実から逃避する。

ついにこの長期戦で「はがねの剣」が折れてしまった。剣と盾を持たぬ勇者なぞありえない。アロンアルフアでくっつけて、勇者としての体裁を整えつつ進む。

報告しておくが、「なかま」であるガードレール設置率は体感的に半々。

もうだめだ。意識もうろう。HP4。画面は真っ赤だ。このまま魔王に敗れ、世界は闇につつまれるのか?無念、。

なんと!

酷道においては、駐車場は「町」!

そこに勇者達が集っている!

勇者達から「元気」が集まる。オラに元気を分けてくれ!

もう魔王を倒すには、「元気玉」しかない!

アロンアルフアでくっつけた「はがねの剣」に、みんなの「元気」が集まる!

世界から闇を振り払うために、勇者は叫ぶ!

「アバンストラッシュ!」

なんか違う気がするがこの際、魔王を倒す為ならなんでもかまわぬ。どうせ同じ「ドラゴン」繋がりだ。

ついに魔王のどてっ腹に穴をあけた!

暗い!てか電源がない!

無理もない。登ってくれば分かるが、このトンネル自体奇跡的に敷かれているんだ。先人達の努力によって。電源なんて望む方が間違い。

ついに行者還越え達成!

魔王の断末魔が聞こえる。

エンドロールへ。

紹介したい勇者がいる。三重県側の下りで出会った勇者だ。

見事なピースサインだが、自分も最初は何訴えてるのか分からなかった。

窓あけて声聞いたから分かるんだけど、この先2台車が来るから気を付けてって事だった。

離合困難な酷道を走る者の礼儀。

自分もちゃんとしなきゃなって思った。

フィナーレ。

勇者の帰還。

このブログを最後まで閲覧くださり、ありがとう!

最後に。

この道を必死で切り拓いて、踏みしめてきた人達と、この道にアスファルトを敷いてくれた人達。そして、この道に対して、尊崇と感謝の意を表します。

ありがとうございました。

 

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